６度目のお引っ越し

そんなこんなのややこしい最中、父の転勤が決まったのだ。

今度は元居た場所への逆戻りだ。

この引っ越しは難しかったのだ。

と言うのは、姉と私はお勤めをしていた。

私は入社半年で会社は止められない。

弟は大学受験中だったのでわざわざ田舎に引っ越して受験するのも大変だ。

と言う事で、東京で小さい家を一軒借りて、姉、私、弟、祖母が住み、

田舎では父と、下の弟、母が住む事になったのだ。

母は弟の受験の大事な期間は祖母と交代することになった。

京王帝都線沿線に引っ越したのだ。

そのあたりはまだまだ開拓途中で、田圃の中にポツンポツンと家が建っている程度だった。


気儘に暮らそうと思い姉と一緒に夜間の洋裁学校に通い始めた。

急に痩せた事で着る洋服が制限された為、自分で作る事にしたのだ。

仕事は相変わらず忙しかったが、好きな事に目を向ける事で精神的には

落ち着いて来たのだ。

ある時、教材の洋服生地を買いに出たのだ。

姉は新宿へ、私は渋谷へそれぞれ分かれて出掛けたのだ。

帰って来てお互いにどんな生地を買ったのか、１．２の３で生地を出すと

なんと同じ生地だったのだ。

なんという事だろう。

わざわざ別行動し、あんなに沢山の生地の中から選んだのに同じだなんて・・・とても不思議だった。

デザインを変えて作ったのだ。



新宿・オカダヤ


渋谷・トーア


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